2020年10月23日金曜日

ゲームマーケットでます。

 11/14, 15日に東京ビッグサイトで開催されるゲームマーケット2020秋に出展します。スペースは「2日目セ11」です。

まあいつものごとくギリギリまで作業します。即売会に最後に参加したのはC97なので1年弱 ぶり?ですね。新刊はさらに前が最後なので作り方を忘れて戸惑っていました。

おそらくコピーになると思いますが、余力があればオフセット印刷機をぶん回します。

2020年10月16日金曜日

Memsourceの機械翻訳精度が高まっている

 ブログ更新通知用IFTTTアクションが死んでしまったので、代わりのアクションのテストがてら雑記を投稿。

ルールブックやシナリオの翻訳のために、Memsourceの個人有料プラン(月2000円!)に入っているのだけど、前にシナリオ翻訳した時と比べて機械翻訳の精度がかなり高まっている。一部の複雑な文章を除けば、若干の修正で終わってしまう。いままでは一回の作業で50センテンス翻訳できていたのが、いまは100-150センテンスくらいできる。Delta green: Need to Knowの翻訳も、予想より大幅に早くできそうだ。これならキャラクターシートの方にも手が回せるかもしれない。

ゲムマ原稿は見通しが立ってきた。表紙が決まってないけど、うちの恒例でどこかの写真を荒く加工したやつになるはず。そろそろ表紙に絵とか載せたいけどどうやって発注したらいいんだか。 お金は出す。

2020年10月11日日曜日

DEX (dexterity)は「器用さ」?それとも「敏捷性」?

Call of Cuthulhuをはじめ、多くのTRPGにはキャラクターの能力を示す値がある。その中に、よくDEX (dexterity)という値があったりする。この単語は普通「器用さ」と訳されることが多いが、CoCでは「敏捷性」と似たニュアンスで捉えられていることに気づいた。一方で、DEXを「器用さ」としているところは、素早さの指標としてAGI (agility)を使っていたりする。

DEXを素早さの指標として使うのは意味的に正しいのか? この扱いはCoCだけなのか?
同じようなことを考えておられる方もいたが、今後の翻訳のために、簡単にまとめてみたい。

そもそもdexterityとは

まずは語義について確認。Oxford dictionaryによると、dexterityの意味は 
skill in using your hands or your mind
となっている。日本語だと「自らの手や頭を使った能力」ということで、自分の身体や、頭脳を用いて、何かをうまく行うことに大して広く当てはまる言葉だということがわかる。だから、剣や銃を上手く扱うのもdexterityが高いと言えるし、素早く走るのもdexterityがあると言える。そういう意味ではとても広い範囲の行為が当てはまる言葉だ。そういう意味で、CoCでDEXを素早さとして扱うのは語義的に間違いとまでは言えない(まあアメリカ発のシステムでそういう間違いはないと思うけど)。

CoCでの扱い

CoC 7thでは下のように記載がある(原著P31)。
Investigators with higher Dexterity scores are quicker, nimbler and more physically flexible. 
身体の俊敏さや可動性に焦点を当てていて、完全に素早さとして扱われている。CoCの場合は、具体的行為の器用さ的指標として技能値があり、これが他TRPGのdexterityの使い方とかぶるので、DEXが素早さ的指標として扱われているのかもしれない。
他方、素早さの指標としてagilityを用意してしまうと、DEXからその要素は取り除かれて、完全に器用さの指標として扱われるのだろう。他のTRPGの運用がまさにそれだ。

他TRPGでは

Delta greenなどのCoCの系譜に属するシステムはDEX = 素早さのことが多い様子。これはさらにD&Dまで遡れる(らしいが、やったことない)。D&Dの場合は、素早さだけではなく身体的技能全体にDEXが影響するようなので、それはまさしくdexterityの語義を反映していると言える。

日本のTRPGシステムを見てみると、例えばソード・ワールドなんかは器用度と敏捷度は独立して存在しており、器用度は隠蔽判定や命中力判定に影響する一方で、敏捷度は先制判定や回避力判定に影響する。ここでは器用度は完全に身体をうまく使えるかという指標になっていて、素早さ要素はない。
ログ・ホライゾンTRPGはDEXのみがあるが、こちらは器用さとして扱っているようだ。その他のシステムもざっと見てみたが、意外にDEXやAGIに相当するものを数値として扱っていない(少なくともこの言葉を使っていない)ことに気づいた(ダブルクロスやサタスペなど)。DEXというのは、D&Dから始まる伝統的TRPGステータスの名残のようなものなのかもしれない。

まとめ
  • Dexterityは広く身体の動作性を示していて、CoCの素早さ的扱いは語義的に正しい
  • もとを辿ればD&Dのステータス(らしい)
  • 思ったよりDEXを持つTRPGが少なかった(まあ知ってるシステムそのものが少ないというのはある)。今後もどういう風に能力を数値化するかという試行錯誤は続いていくのだろう。
ということを原稿ほっぽり出して新幹線車内でぼんやり想いにふけっていたのでした。

2020年10月1日木曜日

Delta Green : Need To Knowを読む

 以前、Twitterで知り合った方から面白いCoCサプリメントとして「Delta Green」というものを教えてもらった。調べてみると、今はCoCから独立して単独のルールブックを発売している。CoC 6thを下敷きに神話生物とバチボコ闘う秘密結社もので、CoCブームかつSCP人気の日本なら結構流行りそうな感じ。記事を書こう書こうと思って書きかけのまま放置していたので、ゲムマ原稿からの逃避で紹介したい。

 

今回は無料版のルールブックである「Delta Green : Need To Know」の話。DriveThruのサイトで言い値形式(0ドルからいくらでも値付け可能)でダウンロードできる。CoC 7thであったクイックスタートルールのような感じで、これだけでDelta Greenのシナリオを簡易に遊ぶことができる。

Delta Greenというのはこのシステム内に存在する特殊部隊の名前で、1942年にナチスのオカルト戦略に対抗するために結成されたものだ。数々の隠密作戦に投入されたが、戦後は政府非公認組織になって内紛を起こし、現在も分派している…という設定。プレイヤーはそこのエージェントとなり、国民の知らぬところでオカルトめいた陰謀や神話生物との戦いに身を投じていく。アメリカ発のTRPGなのでアメリカの組織だが、日本国内の特殊部隊を作ってしまえば遊ぶのに問題はないと思う(し、どうせ日本でアメリカの兵隊が好き勝手しても誰も文句言わないだろう)。


基本的なシステムはCoC 6thとあまり変わらないが、スキルに「ヒューミント」「シギント」といった諜報系のものがあったり、EDUがCHA(カリスマ)になってたりと全体的に軍事的な雰囲気が漂っている。戦闘のシステムはもちろん充実している(特に銃火器)が、それ以上に詳細に書かれているのが「どうやって正気を失っていくか、正気を保つためにどんな犠牲があるか」という点。

キャラクターは「破滅点」を持っていて、その点数よりSANが下回れば精神に支障をきたしてしまう。面白いのが、このSAN減少を軽減する手立てが2つ存在しているところ。1つが「他者との関係の摩滅」で、家族や恋人との繋がりを示す値を減らすことでその分SAN減少を防ぐことができる。「任務で精神的な余裕が失われて、家族に辛く当たってしまう」ようなシチュエーションが数字に反映される。

もう1つが「適応」で、破滅点に至らずに特定の事象(例えば暴力的な出来事でのSAN減少)を繰り返し身に受けることで、その種の出来事でSANが減少することがなくなる。(なんかシェルショックの兵隊を思い出した)その代わり、能力値が減るなどの悪影響が発生する。

 このあたりのシステムは、海外アクション映画とかであるような、特殊部隊出身の人間が戦いに身を投じていく中で人間性を失い、周囲から理解されなくなっていく孤独感がひしひしと伝わってきて個人的にとてもよい。なんか本家CoCより狂気に至る過程が丁寧に描写できるんじゃないかという気すらしてくる。

公式に存在しない特殊部隊といい、だんだん狂気に飲まれていくエージェントといい、ちょっと改造すれば「SCP財団TRPG」にできてしまいそうである。あれもアメリカ発だしアメリカ人こういうシチュ好きなのか?

 

長々と書いてしまったが、以上のところまでは無料で手に入るので、英語大丈夫兄貴姉貴たちは是非とも遊んでみるといいと思う。遊びたい。

私は駿河屋でKickstarter版のハードカバーを手に入れたので、原稿詰まったらこれを読んで一人妄想にふけることにしたい。

2020年9月17日木曜日

むかーしむかしの同人誌を電子化してアップロードした

先日もそんな話をしていましたが、試験的に「試される大地」(Interdiceの一番最初の本です)を電子化しました。

こちらのサイト(https://docs.interdice.org) にアップロードしてあります。何か問題あったら消えますのでまあその時はその時で。

作るにあたっては下のような流れでやりました。

先日も記事で書きましたが、うちは原稿のほとんどをMarkdownで書いてるので、それをAsciidocに書き換えてHonkit(旧gitbook v1)形式でまとめておきました。これをうちのサークルのGitリモートリポジトリにPushしたらNetlifyに自動デプロイできるように設定してあります。

最近Netlify流行ってんなあと思い少し触ってみたら結構簡単にデプロイできてしまったので、この勢いで公開しちゃいました。

うちで書いたまとまった文章はシナリオに限らずここに上げていこうと思っています。

2020年9月14日月曜日

昔の同人誌を電子化して無料公開するようにしたい

 ただいま絶賛ゲームマーケット原稿中ですが、休み休み別の作業もしています。そのうちの一つが過去同人誌の電子化です。とりあえず「試される大地」の1巻目を公開できるように準備しています。

PDFで公開するのが一番楽なのですが、全文検索や、二次利用(そんなのあればだけど)を考慮して、Asciidocでマークアップし直してGitbookで公開する予定です。

元々うちの同人誌はほとんど全てがMarkdownで書かれており、その後版組担当のルゥくんが上手に本にしてくれるというフローなのですが、この「試される大地1」は完成原稿がPDFでしか存在していないため、テキストに戻すのがやや大変です。ですが後々2以降を電子化などする際にはこういった形の公開がいいだろうと思ってやっています。

IT関連ではGitbookでドキュメントを公開するというのはたまにありますが、TRPG関連だとあまりないかもしれません。というか電子でシナリオを公開しているところすらあまり見ません(CoCのWikiにはいくつかあるのは知っていますが…)。そういうホスティングサイトあったら使ってみたいですね。


あと全く別件ですが、Stewart Culinのマンカラ論文を個人的に翻訳しています。Culin氏が亡くなってから70年経過していて著作権が切れているので、問題なさそうならこちらも公開して、マンカラ史を知ってる人、知りたい人の助けになればと思います(まあ稚拙な訳ですが)。

2020年9月1日火曜日

マンカラはいつから日本に来たのか

 マンカラ本の原稿を書いているのですが、「マンカラが日本にやって来て受容・普及していった過程」がまとまった文章を誰も書いていないことに気づきました。まだ簡単に調べただけで確実なことは言えないものの、断片的な資料からおぼろげなマンカラ発展史が見えてきた感じがします。備忘ついでに今の所の考えをまとめておきます。


1694: Thomas HydeのHistoria Shahiludiiでマンカラが紹介され、この手の石取りゲームに"mancala"の語が充てられる。

1894: Stewart Culinによるマンカラ論文。欧米世界で「改めて」マンカラの存在が認知された(Culinがマンカラを見たのがNYであるように、移民によって既にヨーロッパ世界では遊ばれていたと思われる)。

-1950ごろまで: ウォータールー大学のサイトを見ると、この頃まで特定の地域のマンカラについて紹介する論文が書かれている様子。

1944: William Julis Champion Jr. がKalaha(現在もっとも遊ばれているマンカラのルール)を開発。(1952年に特許が出てるらしいけど確認中)

1964: ダニエル・ロプス「イエス時代の日常生活」が邦訳され、その中にマンカラについての記載がある(らしい、増川宏一「盤上遊戯」から。まだ未確認)。今の所マンカラについて遡れる一番古い日本語文献?

1978: 増川宏一「盤上遊戯」でマンカラ紹介。民俗学の文脈を離れて、純粋にゲームについて紹介したおそらく初めての日本語文献?Dakonのルールについて紹介している。

1985: 朝日新聞10月17日夕刊でマンカラについて言及。ボードゲームサークルの紹介で、遊んだゲームの中にあった。この頃既にボードゲームに詳しい人は遊んでいた様子。サークルの主催は「菊池忠昭」さんとあるけど、団龍彦さん?まさかね……。→追記:まだ残っているボードゲームサークルのサイトによると団龍彦さんで合っているようだった。てかこのサークル、ゲムマの創始者草場純さんのところじゃん!記事冒頭の名前表記がつぶれてよく読めなかったけど確かに書いてある…。草場さんはアブストラクトゲームや伝統ゲームをよく収集されているというから、この時期にマンカラを遊んでいるのはまだ日本にあまりマンカラが浸透していないという傍証、か?直接聞ければいいけど……。

1980年代後半: 未確認資料だけど、この頃すぎやまこういちさんがマンカラをゲーム雑誌で紹介していた、らしい。

1990-1995: 日本レクリエーション協会の会報誌「レクリエーション=Rec」でマンカラの遊び方を紹介。この協会は(前にも言ったけど)マンカラをレクリエーションの一環として普及させる活動をしている。今はカラハを主に遊んでいるようだけど、この頃のルールはWariを紹介している。

2000年代後半: いくつかの新聞で「子供会などでマンカラを楽しむ」記事が掲載されていて、この頃までに相当程度普及しているのがわかる。朝日新聞2008年5月27日朝刊ではマンカラの解説とカラハのルールが記載してあるので、この頃はもうカラハがメインなのだろう。マンカラの解説は日本レクリエーション協会の解説と似ているので、おそらくそこからの引用かな。

2011: この頃から日本レクリエーション協会でマンカラの用具開発などを行っていると書いてある。でもこの頃より前から地道にやっていたんじゃないかな?


こうまとめて見ると色々とミッシングリンクがあるのがわかる。

  • 1964年、あるいは1978年以前のマンカラを紹介した日本語資料は本当にないのか?Culinの紹介とかはどこかの学会誌に載ってもおかしくないような気がする。
  • 1970-80年代からマンカラが遊ばれている様子。この辺りの資料は乏しい。
  • 1990年代後半から2000年代前半にかけての資料はない。しかし2000年代後半には既に児童館や子供の集まるコミュニティには普及していたようなので、この10年間に相当程度の普及があったはず。日本レクリエーション協会の貢献はあったろうけど、ではカラハのルールがどのように普及していったのか。
まあ、この辺りの歴史の話は本にがっつり書くわけじゃないのでいいのだけど、どこか気になるところではあります。遊戯史学会がまだあれば色々お話を聞けたのかもしれないな、と思いながら、しこしこと資料集めに勤しむのでありました。

てかまだ英語資料や論文も全部読めていないんだった。そっちが先だ。