2020年8月24日月曜日

Call of Cthulhu 7版の対抗ロール:「失敗」と「ファンブル」が出たときはどうすればいいのか?

はじめに 

去年、同人誌のネタ用に「Call of Cthulhu 7版の「対抗ロール」はどれくらい対抗できるのか計算した」という記事を書いた。6版の対抗ロールと異なり、7版の対抗ロールは確率がパッと分かりにくいので雑に計算したのだが、後から見返してみると「引き分けの時は受動側有利」と勘違いしていたり(実際は引き分けとするかやり直し)、考察も今見ると浅くて再計算する必要があるように感じた。
そこで、今回は「「失敗」と「ファンブル」が出たとき」に注目して、どのような処理を行うのが良さそうか、今後の確率計算のために検討したい。

まとめ

両方とも失敗した時は「おそらく」振り直しとするか引き分け(あるいは双方失敗として処理)にしといた方が確率的に無難。あとはダイスを振る時間との兼ね合いになると思われる。

対抗ロールの要件

まずは対抗ロールのやり方について復習する。対抗ロールは日本語版ルールブックP87に記載がある。

  • 2人(PC同士、あるいはPCとNPC)で適当な能力値を提示し、それを基準に1d100ロールを行う。
  • お互いの成功度を比較する。
    • 成功度はクリティカル>エクストリーム>ハード>レギュラー>失敗、ファンブルの順に高い。
    • 成功度が高い方が対抗ロールに勝つ。
成功度が引き分けだった場合は能力値が高い方が勝利する。能力値も同じだった場合の処理は色々あるが、ここでは確率をきちんと求める都合上「決着がつくまで振り直し」としたい。
ここで、「失敗」と「ファンブル」が出たときの記載はルールブックにはない。単に成功度を比較するという文面では「失敗」が出た方がロールに勝つとも読み取れる。実は前回の記事はここで失敗側がロールに勝利する設定になっている。この条件の処理はKPによって変わってくると思うが、どのようにすべきなのだろうか。これが今回の疑問点である。

成功度と確率

各成功度は能力値を $s$ とすると次のような確率に従う。
  • クリティカル: $P(Critical) = \dfrac{1}{100}$
  • エクストリーム: $P(Extream) =\dfrac{\lfloor \dfrac{s}{5} \rfloor - 1}{100}$
  • ハード: $P(Hard) =\dfrac{\lfloor \dfrac{s}{2} \rfloor - \lfloor \dfrac{s}{5} \rfloor}{100}$
  • レギュラー: $P(Regular) =\dfrac{s - \lfloor \dfrac{s}{2} \rfloor}{100}$
  • 失敗: $P(Fail) = 1 - \dfrac{s}{100} - P(Fumble)$
  • ファンブル$P(Fumble) = \cases{\dfrac{1}{100} & \text{if } s \ge 50 \cr \dfrac{5}{100} & \text{if } s \lt 50}$
これらをそれぞれ(ノン)プレイヤーA, Bの能力値 $s_A$, $s_B$ について計算し、成功度の組み合わせ全ての確率を求めればいい……と式で書いても分かりにくい。ここで成功度に立ち戻って、Aの成功率を考えたときにどの成功度なら勝利するか考えてみよう。

A, Bそれぞれの成功度と、どちらが勝利するかの組み合わせは次のようになる。

Aの成功度
ファンブル 失敗 レギュラー ハード エクストリーム クリティカル
Bの成功度 ファンブル ? A? A A A A
失敗 B? ? A A A A
レギュラー B B ? A A A
ハード B B B ? A A
エクストリーム B B B B ? A
クリティカル B B B B B ?

AとあるのはAが勝利する組み合わせ、BとあるのはBが勝利する組み合わせで、?は成功度が等しいため能力値で勝敗が決まる。

ここで、「失敗」対「ファンブル」について、単に成功度が高い方が勝利、という単純な案を考えてみよう。
例として、$s_A = 45$, $s_B = 55$ の時の成功率について考えてみる。各マスの確率は次のようになる。

Aの成功度 (能力値45)
ファンブル 失敗 レギュラー ハード エクストリーム クリティカル
確率 5/100 50/100 23/100 13/100 8/100 1/100
Bの成功度
(能力値55)
ファンブル 1/100 5/10000 50/10000 23/10000 13/10000 8/10000 1/10000
失敗 44/100 220/10000 2200/10000 1012/10000 572/10000 352/10000 44/10000
レギュラー 28/100 140/10000 1400/10000 644/10000 364/10000 224/10000 28/10000
ハード 16/100 80/10000 800/10000 368/10000 208/10000 128/10000 16/10000
エクストリーム 10/100 50/10000 500/10000 230/10000 130/10000 80/10000 10/10000
クリティカル 1/100 5/10000 50/10000 23/10000 13/10000 8/10000 1/10000

成功度が同じ場合、Bの能力値の方が高いのでBの勝利となる。そのため能力値は10のみの差でも、確率に大きな違いが生じる。
Aが成功する確率は $P(A) = 0.2845$、Bが成功する確率は$P(B) = 0.7155$で、約44%の差がある。このうち「失敗」と「ファンブル」の組み合わせは0.2475で、うち0.2425がBの勝利という判定になる。

ここで、例えば「『失敗』『ファンブル』の組み合わせは振り直し」とすると、1回目の対抗ロールで勝利する確率は、それぞれ$P(A) = 0.2795$、Bが成功する確率は$P(B) = 0.4730$となり、先ほどの大きな確率の差がだいぶん緩和された。残りの確率0.2475で振り直しとなる。
2回目以降の対抗ロールも同様な確率で推移すると仮定すると、無限等比数列の極限を考えれば、最終的な確率は$P(A) = \dfrac{0.2795}{1-0.2475} = 0.3714$、$P(B) = \dfrac{0.4730}{1-0.2475} = 0.6286$となる。このような処理にすると成功率の差はおよそ36%となり、先ほどよりやや緩和された。

この「失敗時もあくまで成功度に従って判断」と「両失敗時は振り直し」というキーパリングの差は、お互いの能力値が低いほど顕著になっていく。例えば、極端に$s_A = 1$, $s_B = 2$という組み合わせを考えると、両方とも失敗あるいはファンブルする確率は 0.9702とほぼ100%近いのにもかかわらず、Bの方が能力値が高いため、$P(A) = 0.0569$、$P(B) = 0.9431$となってしまう。一方で、失敗時振り直しとすると$P(A) = \dfrac{0.0099}{1-0.9702} = 0.3322$、$P(B) = \dfrac{0.0199}{1-0.9702} = 0.6678$となり、能力値の比と確率の比が近くなる。

以上のことから、「お互い失敗時は引き分けとするか振り直し」とするのが良さそうだと結論した。ただ、振り直しすると能力値によっては試行回数が嵩む時があるので、その辺りを注意して柔軟に対応していった方が良さそうだ。

2020年8月19日水曜日

日本国内のマンカラ関連文献個人的まとめ

 マンカラ本のやる気が意外にも続いているので、とりあえず日本語でマンカラについて言及している文献を古い方から漁ってみようと考えました。調べた限り見つけたものをまとめています。

また、検索でだけ引っかかってまだ中身を見られていないものもあります。

  • 増川宏一, "ものと人間の文化史 29・盤上遊戯", 152-158, 1978.
    • 増川さんはかなり長期にわたって遊びについて研究されている大家。将棋が主領域のようだけど、それだけでなく世界の遊びを広範囲に網羅していてその執念に圧倒される。
  • 日本レクリエーション協会, "盤上遊戯 - 十六むさし マンカラ 福笑い", レクリエーション=Rec (351), 20-22, 1990.
    • おそらく遊び方の紹介記事?日本レクリエーション協会は現在販売しているマンカラボードの監修などを行なっており、マンカラの普及に昔から力を入れている様子。
  • 大林太良岸野雄三寒川恒夫山下晋司 編, "民雑遊戯大事典", 多数, 1998.
    • 図書館で確認した限りではかなり多数の著者が言及している。「1830年代にシリアでマンカラをしている姿が見かけられた」と言及していたけどどこの論文にあるんだろう?
  • 増川宏一, "ものと人間の文化史 134・遊戯 その歴史と研究の歩み", p.p.60など多数, 2006.
  • 増川宏一, "盤上遊戯の起源と古代の遊戯盤", シミュレーション&ゲーミング, 25(2), 85-92, 2012.
    • この論文は石に彫られたマンカラボードの論文を引用していてかなり役に立ちそう。
あとは日本語論文がいくつかあるようですが、ゲームとしての解析が主のようですね。この分野は英語論文探した方が早そう(と思って以前見かけた4,6Karahの解析論文探したけど見つけられなかった…)

とりあえず1日だけの調査なのでもっとあったら追記します。1980年代後半にゲーム雑誌のムックで紹介があったという情報があるので確認しています。

2020年8月17日月曜日

マンカラ本をまた書き始める

 先日北海道から船で居住地に戻ったのですが、その行程中あまりにも時間を持て余していたので、以前から書こうと思っていたマンカラの同人誌原稿に手をつけ始めました。

マンカラはアフリカや中東、東南アジアで広く遊ばれている世界でも最古級のボードゲームです。日本でもボードゲームブーム以前から知育遊戯として30年近く遊ばれているようです。最近では任天堂の「世界のアソビ大全」でもマンカラ(カラハ)が収載されて、プレイ人口が増えていると思われます。

一方で、マンカラの歴史はあまりよくわかっていないところが多く、欧米世界でも1894年にCulinが紹介したことが最初期の事例で、それ以前は判然としません。また、日本での広がりもよくわかっていません。調べた限りでは日本レクリエーション協会が、1994年に部内紙で取り上げたことがあるようですが、個人的にはもっと昔の文献があるのではと思っています。日本語のマンカラ文献は、主にゲームの紹介や数学的な解析が散発的にあるだけのようです。

アブストラクトゲーム博物館さんでも紹介がありますが、海外文献ほど詳細ではありませんでした。

ということで、マンカラについて日本語で調べたことをまとめておくのは有意義であろうかと思っているわけです。とりあえずCulinの論文やThe complete mancala games bookを通読しながら、概説のようなものをまとめようかと思っています。

いつできるかはわかりません。とりあえず下のような項目をまとめたいと思っています。

  • マンカラの概説
  • マンカラの歴史(発見史というべきか)
  • 日本のマンカラの展開と浸透
  • マンカラのルール
  • マンカラのバリエーション
  • マンカラの戦略
  • etc


なお、次回のゲームマーケットはこれではなく、CoC 7th岡山シナリオ本にするつもりです。がんばります。

2020年3月27日金曜日

コミケ?ゲムマ?なんの話ですか?

先ほどサークル参加者に連絡がありましたが、C98が中止となりました。先立ってゲムマも中止となっており、これで5月までの新刊を発表する場がなくなったわけです。

未知のウイルスによってここまで生活が脅かされるなんてスペインかぜ以来かと思うと、不謹慎ながら歴史的瞬間に立ち会っているような、ただただ大海原を漂う一枚の葉のような、自分が本当に小さく感じられます。

…が、ここでただでは転びませんよ!
新刊は印刷予定です(進捗は死にそうですが)。
もしかしすると、夏にある別イベントに参加するかもしれません。
したい。

コミケは創作によって自分の存在意義を再確認するような集会になっているので、自分が消えないように場を維持していきたい。

2020年3月21日土曜日

釣りすぎたワカサギは佃煮にして保存すべし

本シナリオはCoCシステムを用いますが神話生物は一切登場せず、狐狸妖怪魑魅魍魎の類にスポットを当てたものとなります。
(中略)
妖怪というのは人々の概念により成立するのです。本シナリオの舞台となる世界ではそうなのです。そういう世界にそういう妖怪がいるのです。

―製作中のシナリオ概要より抜粋


 数年ぶりに筆を執る。いやはや、仕事の都合によりコミケ参加から遠のいているうちに早幾年、シナリオもずっと書いてなかったですね。今回は自称interdiceのアイツたる私もシナリオ書いてます。特に何も決めずネタ考えてたらシナリオの舞台は北海道じゃなくなりました。ずっと北海道に引きこもってるから仕方ないですね。気持ちだけ飛び出しておきましょう。
 ひとまず、このブログ的なアレの存在を思い出させてもらったので生存報告もかねて新年の挨拶に代えさせていただきます。

 今年の抱負はアイヌネギとジンギスカンをいっぱい食べる、です。
 よろしくおねガラナいたします。

2020年3月18日水曜日

東京ゲームマーケット春&コミックマーケット98に参加します…多分

4/26にゲームマーケット 東京に、5/3にコミックマーケット98にサークルInterdiceとして参加します。C98の方はサークル番号が出ていて、西り-28bです。
いつものように北海道ローカルシナリオ集を持っていくつもりです。新刊用原稿は毎度難産ですが、なんとかします。
ただ、今回は例のCOVID-19騒ぎで果たして開催されるのか、開催しても参加できるのかわかりません。
働いている会社も、県内の感染者は少ないですが在宅勤務を開始するようなので、様子を見て欠席ということになるかもしれません。
春のコミケはさぞ快適だろうと楽しみにしているのですが…。

あ、CoC 7th解説本はCoC 7thの日本語版が公式で出たので役目を終えたと判断し、再販しないことにしました。在庫は眠ってますが、持っていくかはわかりません。

2020年1月9日木曜日

CoC新版発売おめでとう&あけましておめでとうございます

あけましておめでとうございます。
CoC 7thサークルとして今年も頑張る・・・ところですが、CoC新版が発売されたことで、うちのサークルの特徴がひとつ失われましたね。まあいいことなので皆さんどしどし新版で遊びましょう!

しばらくじっとしている合間に、知り合った方と「Amdist on Ancient Trees」を回したり、初めてのゲムマやC98の申し込みをしたりしました。
ゲムマは2次募集の申し込みをしましたが、果たしてこれで合っているのやら…。

これからはCoC 7thのことばかりでなく、純粋にローカルシナリオサークルとして、まったりとやって行こうと思います。よろしくお願いします。